Vol. 6 — Color as Structure

Vol. 6 — 色は、構造である

On the four colors of kitt, and the space that holds them.


色は、装飾ではありません。

建築において色は、プロポーションを整え、光の印象を変え、何も置かれていない空間の感触を決めています。

服も、どこか似ていると思っています。

選ぶ色には、その人の感覚が自然と出る気がしています。

kittには、4つの色があります。

どれも、丁寧に考えられた色です。 それぞれに、違う空気があります。

オートミール

オートミールを見た人は、まず「柔らかそう」と感じることが多い気がします。

4色の中でも、オートミールは生地そのものの性格を、いちばん素直に表している色です。

触れる前から、なんとなく伝わる。

そして実際に触れると、その印象が間違っていなかったことがわかります。

kittらしさが、一番伝わりやすい色かもしれません。

杢グレー

「スウェットの色」というと、多くの人が思い浮かべるのは、この色かもしれません。

馴染みがあって、安心感がある。

ずっと昔から知っているような色です。

kittの杢グレーは、その親しみやすさを持ちながら、独特の柔らかさがあります。

杢糸による奥行きが、フラットなグレーにはない静けさを作っています。

最初の一着を聞かれたら、この色を勧めることが多いです。

気づけば、何度も手に取ってしまう色でもあります。

リッチブラック

これは、ただの黒ではありません。

kittは、他の黒と並んだときにも深く見える黒を、長い時間をかけて追い求めてきました。ただのブラックではなく、リッチブラック、と呼ぶにふさわしい黒を。

光の当たり方によって、より深く、より静かな黒に見える。奥行きのある黒です。

その違いは、ゆっくり気づいていく種類のものだと思います。

モノクローム

モノクロームは、kittのセカンドシーズンに加わった、少し特別な色です。

他の3色が単色の糸で編まれているのに対して、モノクロームは、明るいグレーと暗いグレー、2種類の糸を組み合わせて編まれています。

それにより、色の内側に奥行きが生まれます。

影の中に、さらに影があるような感覚。

光によっても表情が変わる色です。

モノクロームの素材を見る時、生地の表面を見るというより、生地の中を見ているような感覚があります。 

4つの色を受け止める空間

SMOKEの内装を考えたとき、壁をニュートラルにはしたくありませんでした。

kittの色は、どれも静かです。

空間まで静かにしすぎると、すべてが埋もれてしまう気がしました。

だから、ひとつだけ強い色を使いました。

ライムイエローです。

温かくて、少し意外性がある色。

服を邪魔するのではなく、自然と輪郭を浮かび上がらせてくれる色です。

古い柱は、昔のままダークブラウン。

高床はマットブラック。

入口から店の奥まで伸びるカウンターは、マットグレー。

色は多いのに、不思議とうるさく感じません。

五叉路から入る光が、一日の中で少しずつ空間を変えていくからです。

イエローの見え方も、黒の深さも、グレーの柔らかさも、時間によって静かに変わっていきます。

なぜ色が重要なのか

長く敬愛しているアメリカの画家がいます。

街の中にありながら、どこか切り離されたような光の感覚。

その空気感を、ずっと覚えていました。

この建物の前に初めて立ったとき、淡いグリーンのタイルと、五叉路の角にある静けさの中に、その感覚が少し戻ってきた気がしました。

長い間、この店には光がありませんでした。

煙草屋として、何世代にもわたって交差点を見守ってきた建物です。

SMOKEという名前を考えたとき、建物が見てきた時間のことを思っていました。

だから、もう一度光を戻したかった。

店の一面を交差点に向けて開き、半屋外のような構成にしています。

内側と外側の境界が、やわらかく残るように。

オープンした最初の夕方、店の光が静かに五叉路へ漏れていきました。

その景色が、今もずっと残っています。

kittの4つの色は、その光の中で見ると、写真では少し伝わらないものになります。

より、その色自身に近づいていく。

色は、装飾ではありません。

構造なのだと思っています。


今年、kittには新しい色が加わる予定です。その色も、またここで紹介できればと思っています。

kittは、日本唯一の常設取扱店SMOKEにて通年お取り扱いしております。京都から世界へ、オンラインストアよりお届けします。

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